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【旅行記】青森県・キリストの墓&大石神ピラミッド(2016年5月訪問)

2017/08/12発行『ヘンな旅』より

キリストの墓

 キリストの墓があると言われている青森県三戸郡新郷村は、県の南東、十和田湖の東に位置する人口2600程度(2016年当時)の村である。
 この村には、キリストの墓やピラミッドがあり、「神秘の村」と呼ばれている。
 5月の大型連休を利用して青森県に訪れた私は、友人が運転する車で青森市から十和田湖を経由して新郷村に向かった。
 十和田湖から新郷村へ続く国道454号を走っていると、「キリストの墓」「ピラミッド」と書かれた標識を見ることができる。ここは本当に日本なのかと思いたくなる。
 山を通る国道は坂道が多い。ゆえにガソリンの消費が激しく、新郷村に入ったあたりで残りわずかとなっていた。国道上で動けなくなりそうだ。
 この近くにガソリンスタンドはないのか。嗚呼、神様……!
 するとどうだろう、小さなガソリンスタンドがあるではないか。
 ギリギリの状況で給油することができた。店主から手書きの納品書が渡された後、「これは奇跡だ。きっとキリスト様のお力だ」などと車内で友人と話していた。この時ばかりは「神の力」を信じたのである。

 そして、ようやくキリストの墓と言われる場所に到着した。そこには、墓と新郷村に伝わるキリスト伝説を紹介する伝承館がある。



 そもそも、新郷村にキリストの墓があると言われるようにはなったのは、「竹内文書」がきっかけである。
 「竹内文書」とは、茨城県北茨城市にある皇祖皇太神宮の管長を代々世襲している竹内家に秘蔵されている古文書類を指す。
 それによれば、イエス・キリストは21歳の時、日本を訪れて修行を積んだ。33歳の時、ユダヤに帰ったが迫害に遭い、磔刑されそうになったところ、3歳違いの弟イスキリが身代わりとなり難を逃れた。再び日本へやって来たイエスは現在の新郷村にあたる地に住み、108歳で亡くなった。
 新郷村の戸来(へらい)という地区にイエスの墓「十来塚(とらいづか)」がある。その近くには身代わりとなった弟の墓「十代墓(じゅうだいぼ)」がある。地名の戸来は、ヘブライが変化したものだと言われている。
 また、新郷村のキリストの墓では毎年6月に慰霊祭が行われ、「ナニャドヤラ」という踊りが捧げられる。この「ナニャドヤラ」の歌詞については由来が定かではないが、ヘブライ語由来であり「御前に聖名を褒め讃えん。御前に毛人を討伐して、御前に聖名を褒め讃えん」を意味する進軍歌であるという説がある。
 キリストの墓には、エルサレム市と新郷村の友好の証として、イスラエルより贈られた石が置かれている。駐日イスラエル大使が祭りに出席したこともあるそうだ。

 墓を見てからキリストの里伝承館に入った。入館料は大人200円(2023年現在も変わらず)。伝承館ではキリスト伝説について解説されている。また、土産品として地元産の生乳を使用したアイスクリームや、例の「ナニャドヤラ」踊りが描かれた手ぬぐいがあり、買った。


 日本にはまだ見たことがない面白い場所、ロマンあふれる場所がある。青森県のキリストの墓を訪れて感じた。

大石神ピラミッド


 キリストの墓と併せて訪れたかった場所が「大石神ピラミッド」である。
 ピラミッドと言えば、エジプトの「ギザの大ピラミッド」のような砂漠にそびえ立つ巨大な四角錐状の建造物を思い浮かべる。また、中央アメリカにはマヤ文明の階段状ピラミッドが残されている。
 しかし、ピラミッドは海外だけにあるとは限らない。エジプトのピラミッドよりも古く、数万年前のピラミッドが日本にある、という記述が例の「竹内文書」にある。
 日本のピラミッドは人工的に石を積み上げたものではなく、自然の山を利用したものである、と昭和初期に酒井勝軍という人物が発表した。
 新郷村にある「大石神ピラミッド」は、5万年前のものであり、「鏡石」(下方四囲12mの巨石)と「方位石」(西方1m余りの割れ目が正しく東西を示す)、頂上の巨石がピラミッドの条件に当てはまるという。
 現地を訪れると鳥居があり、その先に「鏡石」などの巨石の数々がある。このような場所に何故、巨石が多くあるのかは謎である。



 「日本のピラミッド」説は一理あるかもしれない。

<了>